KANREKI HOUSE
還暦の家
-
還暦を迎えた婦人が自分に与える最大の褒美として住宅を建てたいという依頼であった。クライアントが部屋でくつろぎ、ペッタンッコと座って外の景色を眺めるとき、住宅の部屋は果たして何をもたらしてくれるだろうか-そんな問いかけがこの住宅の構想の出発点であった。
還暦を迎えた婦人が自分に与える最大の褒美として住宅を建てたいという依頼であった。クライアントが部屋でくつろぎ、ペッタンッコと座って外の景色を眺めるとき、住宅の部屋は果たして何をもたらしてくれるだろうか-そんな問いかけがこの住宅の構想の出発点であった。
-
現実的、あるいは生活上のプログラムがほとんどない場合、具体的に進めるためには、建築の物理的スケールを獲得することから始めなけらばならない。そこでクライアントの当時の住まいを調査する必要があった。その結果、絵のコレクションはギャラリーに、衣服の総量はクローゼットに、1階にあるゲストルームは将来留学生を迎え入れたいということで諸室の配置と大きさが決定された。
現実的、あるいは生活上のプログラムがほとんどない場合、具体的に進めるためには、建築の物理的スケールを獲得することから始めなけらばならない。そこでクライアントの当時の住まいを調査する必要があった。その結果、絵のコレクションはギャラリーに、衣服の総量はクローゼットに、1階にあるゲストルームは将来留学生を迎え入れたいということで諸室の配置と大きさが決定された。
-
建築計画は大きく3分割されており、奥に進むほどプライベートな領域になっている。モデュールは1,800mmと1,900mmがほぼ交互に繰り返されていて、おのおののスペースは1,900mm~2,900mmほどのサイズで分節されながら、生活を構成する諸機能が部屋を取り囲むかたちで配されている。
建築計画は大きく3分割されており、奥に進むほどプライベートな領域になっている。モデュールは1,800mmと1,900mmがほぼ交互に繰り返されていて、おのおののスペースは1,900mm~2,900mmほどのサイズで分節されながら、生活を構成する諸機能が部屋を取り囲むかたちで配されている。
-
建築はあくまで内部からの要請を大切にし、部屋に落ち着きとある種の庇護感を与えながら、外部世界との関係を担うことをテーマとした。部屋=ルームはL.kahnの晩年の問いだが、次の様に云っている。ルームは直ちに建築ではなく自己の延長であるということです・・・ルームは「世界の中の世界」として外の世界から隔離され、しかしながら、それ故に外の世界に接合するという両義的性格を持つ。ルームの窓は両者を繋ぐ・・・と。
建築はあくまで内部からの要請を大切にし、部屋に落ち着きとある種の庇護感を与えながら、外部世界との関係を担うことをテーマとした。部屋=ルームはL.kahnの晩年の問いだが、次の様に云っている。ルームは直ちに建築ではなく自己の延長であるということです・・・ルームは「世界の中の世界」として外の世界から隔離され、しかしながら、それ故に外の世界に接合するという両義的性格を持つ。ルームの窓は両者を繋ぐ・・・と。
-
アトリエ南面開口部のデザインはこの家の主題のひとつだが、単にコンポジションの美しさを求めるのではなく、内側から外側に向けていくつかの要素が重層しながら展開していくように構成している。すなわち、アトリエの木のベンチ、テラスの石の机、南側の通路などがこのような要素であり、外部の植樹、レンガ塀などと絡まり合って、意識が「世界」に開かれるための領域となるように考えた。
用途/専用住宅 構造・規模/木造+鉄骨造+鉄筋コンクリート造・地上2階建 建築面積/165.38㎡ 延床面積/190.07㎡
岡山市北区伊島町 1999
1999 (社)日本建築士会連合会「私の推薦する作品」優秀賞 1999 岡山市まちづくり賞アトリエ南面開口部のデザインはこの家の主題のひとつだが、単にコンポジションの美しさを求めるのではなく、内側から外側に向けていくつかの要素が重層しながら展開していくように構成している。すなわち、アトリエの木のベンチ、テラスの石の机、南側の通路などがこのような要素であり、外部の植樹、レンガ塀などと絡まり合って、意識が「世界」に開かれるための領域となるように考えた。
用途/専用住宅 構造・規模/木造+鉄骨造+鉄筋コンクリート造・地上2階建 建築面積/165.38㎡ 延床面積/190.07㎡
岡山市北区伊島町 1999
1999 (社)日本建築士会連合会「私の推薦する作品」優秀賞 1999 岡山市まちづくり賞
text
KANREKI HOUSE
還暦の家