佐藤建築事務所

劉生容紀念館

劉生容紀念館

劉生容紀念館
works

LIU MIFUNE ART ENSEMBLE

劉 生容紀念館

  • 佐藤建築事務所「劉 生容紀念館」

    チェロを中心とした室内楽と、絵画を展覧する為の空間が同居したプライベートホールである。
    歯科医にしてチェリストであるクライアントは、台湾出身の抽象画家、劉生容を父に持つ。劉生容氏は15才の時に日本に在住し、若干38才で東京国立近代美術館、神奈川県立近代美術館などに作品が収蔵されており、平成9年に台湾・台北市立美術館で百点以上を集めた回顧展が開催され、大きな反響を呼んだ。
    この時整理された絵画を現在のクライアントが収蔵しているのだが、単に絵を展示するためのホールにとどまらず、劉氏の絵画の世界に囲繞された中で、同時に演奏の空間を成立させたい-即ち、施主の言葉を借りれば、絵画と音楽と建築が三位一体になった空間を要請されたものであった。

    チェロを中心とした室内楽と、絵画を展覧する為の空間が同居したプライベートホールである。
    歯科医にしてチェリストであるクライアントは、台湾出身の抽象画家、劉生容を父に持つ。劉生容氏は15才の時に日本に在住し、若干38才で東京国立近代美術館、神奈川県立近代美術館などに作品が収蔵されており、平成9年に台湾・台北市立美術館で百点以上を集めた回顧展が開催され、大きな反響を呼んだ。
    この時整理された絵画を現在のクライアントが収蔵しているのだが、単に絵を展示するためのホールにとどまらず、劉氏の絵画の世界に囲繞された中で、同時に演奏の空間を成立させたい-即ち、施主の言葉を借りれば、絵画と音楽と建築が三位一体になった空間を要請されたものであった。

  • 佐藤建築事務所「劉 生容紀念館」

    建築的課題として音楽ホールと、絵画展示するための空間は、一般的には相矛盾するものとなる。即ち、音楽ホールは音響を整えるため開口部の出現を嫌い、基本的に閉じた形態が求められる。しかし絵の展示空間は、美術品に有害な直接光は困るものの、間接光としての自然光の導入は、観賞用の光としては最も相応しいものである。
    課題の解決として、この様な相矛盾する内容を一つに統合する手だてとしての建築形式が要請された。平面のジオメトリーは未完のプロジェクトであるミクヴェイスラエルシナゴーグの平面形にその相を得ているが、また一つには円と三角形のモチーフを多用した劉生容氏の絵画の世界に対するオマージュであり、チェロの為の空間としてクラシカルで静謐な空間の実現を目指した。

    建築的課題として音楽ホールと、絵画展示するための空間は、一般的には相矛盾するものとなる。即ち、音楽ホールは音響を整えるため開口部の出現を嫌い、基本的に閉じた形態が求められる。しかし絵の展示空間は、美術品に有害な直接光は困るものの、間接光としての自然光の導入は、観賞用の光としては最も相応しいものである。
    課題の解決として、この様な相矛盾する内容を一つに統合する手だてとしての建築形式が要請された。平面のジオメトリーは未完のプロジェクトであるミクヴェイスラエルシナゴーグの平面形にその相を得ているが、また一つには円と三角形のモチーフを多用した劉生容氏の絵画の世界に対するオマージュであり、チェロの為の空間としてクラシカルで静謐な空間の実現を目指した。

  • 佐藤建築事務所「劉 生容紀念館」

    1辺7.2m角の中央のホールに接合された円形空間は、各々室としての用途を持っているが、メインスペースに間接光をもたらす装置であると同時に、音の共鳴箱としての効果を狙ったものである。

    1辺7.2m角の中央のホールに接合された円形空間は、各々室としての用途を持っているが、メインスペースに間接光をもたらす装置であると同時に、音の共鳴箱としての効果を狙ったものである。

  • 佐藤建築事務所「劉 生容紀念館」

    音響計画はホールが4隅の円形室と繋がっており、カップルドルームになるので設計が困難であり、残響特性を問題にする程空間の容量が無い為、今まで模型等で実験を繰り返した石井伸一郎氏(小ホールの音の専門家)のデータとその助言に従った。その結果、ホール内部の壁・天井の吸音・反射率を半々とし、廻廊部の天井を100%吸音とすることになった。共鳴箱としての円形室はその内部での音も良いが、ホール内部に残響の膨らみをもたらすものとなっている。

    用途/音楽ホール 構造・規模/鉄筋コンクリート造・地上2階建 建築面積/131.93㎡ 延床面積/211.07㎡
    岡山市中区湊字荒神 1999

    音響計画はホールが4隅の円形室と繋がっており、カップルドルームになるので設計が困難であり、残響特性を問題にする程空間の容量が無い為、今まで模型等で実験を繰り返した石井伸一郎氏(小ホールの音の専門家)のデータとその助言に従った。その結果、ホール内部の壁・天井の吸音・反射率を半々とし、廻廊部の天井を100%吸音とすることになった。共鳴箱としての円形室はその内部での音も良いが、ホール内部に残響の膨らみをもたらすものとなっている。

    用途/音楽ホール 構造・規模/鉄筋コンクリート造・地上2階建 建築面積/131.93㎡ 延床面積/211.07㎡
    岡山市中区湊字荒神 1999

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