佐藤建築事務所

旧日銀岡山支店「ルネスホール」 Ⅰ期

旧日銀岡山支店「ルネスホール」 Ⅰ期

旧日銀岡山支店「ルネスホール」 Ⅰ期
works

RENAISS HALL

旧日銀岡山支店「ルネスホール」 Ⅰ期

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    大正11年に竣工した旧日銀岡山支店は、名手長野宇平治により設計された銀行建築の一つであり、岡山市の中心市街地の中で、歴史的建造物として、文化・社会史に深く係る「都市景観のシンボル」となってきた建物である。今回の計画は、この様な建物を保存・改修し「芸術・文化の創造拠点」として再生することである。具体的には、耐震性の不足と診断された本館を耐震補強し、室内楽を中心としたアコースティックホール(飲食を楽しむこともできる)として改修すること。又、ホワイエ・事務室・ラウンジ・WC等の機能を収めた新築棟を増築すること。いま一つは、外塀を撤去し、街に開かれた都市庭園を整備することであった。

    大正11年に竣工した旧日銀岡山支店は、名手長野宇平治により設計された銀行建築の一つであり、岡山市の中心市街地の中で、歴史的建造物として、文化・社会史に深く係る「都市景観のシンボル」となってきた建物である。今回の計画は、この様な建物を保存・改修し「芸術・文化の創造拠点」として再生することである。具体的には、耐震性の不足と診断された本館を耐震補強し、室内楽を中心としたアコースティックホール(飲食を楽しむこともできる)として改修すること。又、ホワイエ・事務室・ラウンジ・WC等の機能を収めた新築棟を増築すること。いま一つは、外塀を撤去し、街に開かれた都市庭園を整備することであった。

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    近代遺産である古典主義建築に対し新設される諸要素がどの様な形で与えられるべきかがデザインの課題である。本館棟にあっては耐震柱の意匠であり、新築棟にあっては否応なくリノヴェートされるであろう都市に対する構えである。古典主義/ミニマリズム、不透明/透明、或いは重さ/軽さといった新旧を並置する一義的図式は避けるようにした。古典主義とモダニズムを対置させるのではなく、むしろ歴史的繋がりがあるものと捉えることにより、保存空間が単なる過去の遺産として相対化されるのを妨げ、時間の連続性を生むものと考えたからである。

    近代遺産である古典主義建築に対し新設される諸要素がどの様な形で与えられるべきかがデザインの課題である。本館棟にあっては耐震柱の意匠であり、新築棟にあっては否応なくリノヴェートされるであろう都市に対する構えである。古典主義/ミニマリズム、不透明/透明、或いは重さ/軽さといった新旧を並置する一義的図式は避けるようにした。古典主義とモダニズムを対置させるのではなく、むしろ歴史的繋がりがあるものと捉えることにより、保存空間が単なる過去の遺産として相対化されるのを妨げ、時間の連続性を生むものと考えたからである。

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    本館内部4ヶ所に設けられた耐震柱は、構造と設備を一か所に集約させることにより、最小限の要素で、保存空間を極力そのまま成立させている。スクリーンの格子の中には、ホールに必要な諸設備、照明、空調、電気音響設備等が収められており、又、内部は吸音壁になっていて、既存空間の残響過多の状態を低減させる役割を担っている。
    残響時間は当初3.2秒、改修後1.5秒となっている。

    本館内部4ヶ所に設けられた耐震柱は、構造と設備を一か所に集約させることにより、最小限の要素で、保存空間を極力そのまま成立させている。スクリーンの格子の中には、ホールに必要な諸設備、照明、空調、電気音響設備等が収められており、又、内部は吸音壁になっていて、既存空間の残響過多の状態を低減させる役割を担っている。
    残響時間は当初3.2秒、改修後1.5秒となっている。

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    本館の持つモデュール(柱間3,030)を新築棟に延長し、全体で一つの秩序を形成すること。又、古典的モチーフであるオーダーを現代的に翻訳し、都市に対する新たな構えを築くこと。その一方で柱・壁・天井・サッシ等を全て同系色で仕上げ、リテラルな透明性を獲得する等の操作により現代的な質を保ちながら古典性に同調する空間の質が実現されたのではと考えている。長野宇平治は日本で最初の生粋の古典主義者だと言われている。その建築に新たに加えられる建築はあくまでも控え目なものでありながら、古典主義の精神を引き継ぎ、凛とした佇まいをもったものでありたいと願った。

    本館の持つモデュール(柱間3,030)を新築棟に延長し、全体で一つの秩序を形成すること。又、古典的モチーフであるオーダーを現代的に翻訳し、都市に対する新たな構えを築くこと。その一方で柱・壁・天井・サッシ等を全て同系色で仕上げ、リテラルな透明性を獲得する等の操作により現代的な質を保ちながら古典性に同調する空間の質が実現されたのではと考えている。長野宇平治は日本で最初の生粋の古典主義者だと言われている。その建築に新たに加えられる建築はあくまでも控え目なものでありながら、古典主義の精神を引き継ぎ、凛とした佇まいをもったものでありたいと願った。

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    旧公文庫は改修されカフェとして再利用された。既存の金庫扉は保存。壁面はギャラリー展示に利用される。又、イベント開催時は来館者へ幕間のドリンクサービスが行われる。

    旧公文庫は改修されカフェとして再利用された。既存の金庫扉は保存。壁面はギャラリー展示に利用される。又、イベント開催時は来館者へ幕間のドリンクサービスが行われる。

  • 佐藤建築事務所「旧日銀岡山支店 ルネスホール」

    敷地外周を巡っていた既存外塀は解体撤去され、開放的な都市庭園が生まれた。中庭修景は本館棟のモデュールで統制された。テラス南側は洗い出し仕上による屋外イベントスペース。中庭に据え付けられた巨大なベンチは、銀行の受付カウンターであった万成石を再利用したもの。南側進入部分である飛び石は外塀に使われていた北木石。

    用途/多目的ホール 構造・規模/レンガ造+鉄筋コンクリート造+鉄骨造・地上2階建 建築面積/938.70㎡(計画部分) 延床面積/1,200.52㎡(計画部分)
    岡山市北区内山下 2005 佐藤建築事務所/岡山県設計技術センター

    敷地外周を巡っていた既存外塀は解体撤去され、開放的な都市庭園が生まれた。中庭修景は本館棟のモデュールで統制された。テラス南側は洗い出し仕上による屋外イベントスペース。中庭に据え付けられた巨大なベンチは、銀行の受付カウンターであった万成石を再利用したもの。南側進入部分である飛び石は外塀に使われていた北木石。

    用途/多目的ホール 構造・規模/レンガ造+鉄筋コンクリート造+鉄骨造・地上2階建 建築面積/938.70㎡(計画部分) 延床面積/1,200.52㎡(計画部分)
    岡山市北区内山下 2005 佐藤建築事務所/岡山県設計技術センター

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旧日銀岡山支店「ルネスホール」 Ⅰ期